いったいどうやって単純な「牛あみ焼きとハンバーグ」を「牛肉の編み物の燃焼とハンバーグのステーキ」に成り変えるのは何だろう?
牛 → 牛肉 → Beef
あみ → 編み → knitting
焼き → 燃焼 → combustion
これを英語に翻訳(翻訳と言ってもかなり広い意味で・・・)した人は一文字ごと直訳して、こんなでたらめを作りだした。
私が経営している会社は色々な分野の書類を翻訳していますが、私個人が担当している翻訳の多くは工作機械とその関連技術に関する文章です。その為、「日本国際工作機械見本市」が開催される年には、可能であれば参加します。10社以上の顧客と1日で会える機会だけではなく、最新の開発や技術を見ることが出来ます。
今年は中国から東京へ、この展示会の為に2泊3日の予定で一時帰国しました。展示会に参加するだけで、かなりのお金と時間の浪費に感じるかも知れませんが、2年に1度しか開催されないということもあり、行くことにしました。毎回と同じ会社が出展していましたが、残念ながらその多くは誤訳だらけの英語と中国語を何も気にせず展示パネルやカタログ、看板などに使用していました。毎回改善されないので驚くことでもないのですが・・・
しかし、開催する側の「社団法人日本工作機械工業会」の看板を見た時には、本当に驚きました。英語で大きな文字で「国際」の意味の「International」を書いたつもりが、2つ目の「i」が抜けていたからです。 面白い?いいえ!世界中の人が訪れているのに、情けないのと、非常に恥ずかしいと思います。日本のこの業界の世界位置づけを改善すると言いながら、簡単な英語さえ書けないとは・・・
誰だって間違えることもあるでしょうと思いながら、上の写真を撮りました。しかし、その社団法人の英語版ウェブサイトを見た時は、さすがに固まってしまいました。同じ言葉をまた間違えていたからです。しかし、今回は、2つ目の「a」が抜けていました。
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言葉を失うほど失望しました。でも唯一の救いは次回のJIMTOF 2012までに改善の時間が充分あることですかね。
本来は「奥さん」は他人の妻を敬っていう語です。文脈がないと、話している相手か第三者の妻は明確ではないが、確かなのは話している本人の妻ではないことです。「私の奥さん」は正しくない言い方ですが、近年ではよく耳にします。「私の奥さんと食事に行ってきます」などと聞くと、間違った日本語でも、意味は明確です。この場合だと翻訳するのは簡単です。しかし、「私の」はよく省略され、単に「奥さんと食事に行ってきます」として使われています。この場合は、文脈がないと、他人の妻と食事することにしか思えない。
「奥さんと食事に行ってきます」と言われたら、直ぐに思うのは「誰の?」です。例えば、メールの本文などを翻訳する場合は、その「誰の?」を聞くことが出来ないのが普通です。問題は英語にするとその「誰の」を必ず入れる必要があります。その情報がなければ、「誰かの」にするしかありません。本当は夫婦が食事に行く話だけだったのに、まるで浮気の宣言に聞こえてしまいます。
ここで翻訳を依頼する時に大事なことが二つです。一つ目は充分な文脈・背景を翻訳者に伝えて、正しく翻訳できるようにすること。二つ目は少なくても日本語を正しく使うこと。
この例だと「妻と食事に行ってきます」を言っていたら、何の問題もなかったです。