2010年12月 のアーカイブ

JIMTOFは国際的?

2010年12月30日 木曜日

私が経営している会社は色々な分野の書類を翻訳していますが、私個人が担当している翻訳の多くは工作機械とその関連技術に関する文章です。その為、「日本国際工作機械見本市」が開催される年には、可能であれば参加します。10社以上の顧客と1日で会える機会だけではなく、最新の開発や技術を見ることが出来ます。

今年は中国から東京へ、この展示会の為に2泊3日の予定で一時帰国しました。展示会に参加するだけで、かなりのお金と時間の浪費に感じるかも知れませんが、2年に1度しか開催されないということもあり、行くことにしました。毎回と同じ会社が出展していましたが、残念ながらその多くは誤訳だらけの英語と中国語を何も気にせず展示パネルやカタログ、看板などに使用していました。毎回改善されないので驚くことでもないのですが・・・

しかし、開催する側の「社団法人日本工作機械工業会」の看板を見た時には、本当に驚きました。英語で大きな文字で「国際」の意味の「International」を書いたつもりが、2つ目の「i」が抜けていたからです。 面白い?いいえ!世界中の人が訪れているのに、情けないのと、非常に恥ずかしいと思います。日本のこの業界の世界位置づけを改善すると言いながら、簡単な英語さえ書けないとは・・・

誰だって間違えることもあるでしょうと思いながら、上の写真を撮りました。しかし、その社団法人の英語版ウェブサイトを見た時は、さすがに固まってしまいました。同じ言葉をまた間違えていたからです。しかし、今回は、2つ目の「a」が抜けていました。

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言葉を失うほど失望しました。でも唯一の救いは次回のJIMTOF 2012までに改善の時間が充分あることですかね。

太陽熱温水器

2010年12月25日 土曜日

屋根の上にソーラーパネルが設置されていれば、それは発電用のものだろうと習慣的に思ってしまいます。多分、ヨーロッパや日本ではそうでしょうし、私の考えもあながち間違ってはいないでしょう。ただ、ここ中国では事情は異なり、太陽熱は発電よりもむしろ温水供給に積極的に利用されています。

太陽熱温水器は中国ではとても普及しており、西洋諸国に比べると驚くほど安い値段(同サイズのもので大体8割ほど安く、約1,500元≒21,000円)で入手可能です。現在、3千万以上の世帯に太陽熱温水器が設置されているといわれています。この要因の一つは、曇りの日や気温が零度を下回るような日にも高効率で集熱ができる真空ガラス管に求められるでしょう。下の写真は私の家の窓から撮ったものですが、太陽熱温水器があちこちに設置されているのがよくわかりますね。

屋上の風景


温水器


現在、中国国内には400以上もの太陽光発電関連会社があるといわれており、関連製品の生産量は全世界の18%を占めています。2007年には世界中で生産された3,800メガワット相当のソーラーパネルの内、約半分の1,700メガワット分が中国で生産されました。しかし、その99%は輸出用で、国内に出回るのは1%程度でしかありません。

下のグラフや表でも、中国の太陽光産業がいかに大きいかが見て取れると思います。

ゴミのリサイクル

2010年12月18日 土曜日

日本ではいくつかの国と同様に、家庭から出るゴミは分別し、それぞれのゴミの指定日に出すのが普通となっています。金属、プラスチック、ガラス、可燃物、不燃物などが一般的な分類です。一番の理由はリサイクル率を高め、埋立率を減らすことにあるのはいうまでもありません。

しかし、ここ青島では事情は少し異なり、どのような種類のゴミでも全部まとめて、日にちも問わずに捨てることができます。どの家庭にとってもこれほどシンプルなことはないですね(というか、仮に分別しろ、といってもするかどうか疑わしいですが)。好きな時にゴミは出せるし、毎日、回収もしてくれる。

じゃぁ、一体リサイクルはどうなるの?

空き瓶や空き缶、プラスチック容器、紙など、本来であればリサイクル可能なゴミも一緒くたに埋め立て用にまわるの?
と思いますよね?

からくりはあるんです。こちらでは種類別にゴミを集める人たちが本当にたくさんいます。空き瓶についてはすでに述べたとおりですが、そのほかにもプラスチック容器専門、金属専門、紙専門などもよく見かけます。電話での依頼に応じて、直接ゴミを回収しに来てくれることもありますが、ほとんどは住居区域におかれている公衆のゴミ箱を巡り、その専門とする分野のゴミを選り分けているようです。

たとえば夕方の6時に街に出てみると、そこここのゴミ箱は、それこそあふれ出したゴミがゴミ箱を囲むような有様です。でも夜の11時、来た道を通り帰宅するころには、それらのゴミ箱からはごっそりとゴミが抜き取られ、価値のないリサイクル不可能な、最終的に埋め立て用に使用されるであろうものを残すばかりとなります。

初めてゴミ箱の周りでペットボトルを漁っている人を見たころは、とても下品だと思うと同時に悲しい気持ちにもなりました。でも、このこともゴミを分別し、リサイクル率を上げ、ひいては人々に仕事を与える社会の一形態だと言えるでしょう。そうやって考えると、当初の自分の感想に変更を加えざるをえません。

安全?

2010年12月14日 火曜日

不正確に使われている、もしくは間違った文脈でよく耳にする日本語の言葉に「安全」と「安心」があると思います。これは日本だけに限ったことではないと思いますが、空港でのセキュリティ(安全)・チェックを例に挙げてみましょう。

空港でのセキュリティ・チェックがどれほどの安全を保障してくれているでしょうか?ここ数年来のセキュリティ・チェックの厳しさは凄まじいものがあります。X線検査を通すときにはコンピューターをバッグから出さなくてはいけない。液体は一定量、もしくは完全に持ち込み禁止。靴を脱がなくてはいけない所もあるし、X線検査の後には金属探知機まで。

これで我々が安全でしょうか?

そうとも言えないんです。

液体を機内に持ち込みたいとするでしょう?であれば、ポケットに液体を入れればいいんです。金属を身に付けていない限りは、金属探知機を難なく通り抜けることができるうえに、笑顔で送り出してくれます。この場合、水銀は例外ですけど!(笑)

金属について言うと、デジタルカメラが世を席巻する以前にはよく見られたX線フィルムバッグを覚えていますか?内側に張られた鉛がX線を防ぎ、フィルムを守ってくれるあのバッグです。効果のほどはというと、モニターを見ながら近くの人と話しこんでいるか、今にも寝てしまいそうな検査員には、検査中の荷物内に空白があるように見えるはずです。その中にだったらフィルムをはじめとしてピストルからナイフまで・・・なんだって入れることができますね。

仮にX線検査員がまじめに働いている場合は、もしあなたが刃物になりうるものを所有していた場合、それら(ポケットナイフはもとより、爪切りなども含め武器になりそうなもの全部)は没収の憂き目にあうでしょう。そしてこれらはすべて、並んでいる他の乗客の目の前で行われます。これとて彼らに安全になったという気分を与えているにすぎず、安心感を与えているという方がより正確だと思います。

しかしながらセキュリティ・チェックを通ってしまうと、そこには免税店があり、液体、刃物、ガラスなど、セキュリティ・チェックであれば没収されるような品々も、ここでなら購入することができるというわけです…

さて、搭乗も無事終わり、目的地に向かって飛行機が飛び立ちました。航路において問題になりそうなものは、効果的でひどく骨の折れるセキュリティ・チェックによって一掃されたはずです。機内では客室乗務員がボトルからワインを注いでくれたり、缶に入ったビールやソフトドリンクを提供してくれます。もしあなたの席がビジネスクラスであれば、料理を楽しむために金属製ナイフやフォークも食事についてくるでしょう。

あなたは当たり前のように金属製ナイフを手にし、ウォッカのボトルを持ち込んで、ねじり切ったらすぐに刃物になるようなアルミ缶を目の前にしています。あんなに膨大な時間とお金を使ったあのセキュリティ・チェックは何だったんだろう、と考えざるをえませんし、ひいては機内においてどのくらい安全であるかということにも疑念が生じます。

このように見てみると、プラスチック爆弾や水に溶けると有毒ガスを発生するような少量の粉末といったような危険物がどこでチェックされていることを考えるだけでも恐ろしいですね・・・

結局「安全」よりも「安心」が重視されているでしょう。

大家とのいざこざ – その2

2010年12月2日 木曜日

続いて・・・

「鍵屋に鍵を開けさせ、鍵を交換する」という大家の言い分を気にかけながらも、私は8月30日、日本での過密日程をこなすために中国を後にし、帰国の途につきました。話を伺った二人の弁護士も不動産会社の担当の人も、いずれにしてもいくつかの法を犯すことになるので、借主の許可なく勝手に鍵を変えるほどこの大家もバカじゃないだろう、と請け合ってくれましたし、私が開けなければ、彼が部屋に入る術はないということも確証してくれました。もちろん私が部屋を開けるわけなんてないので、手つかずの問題は再度、私が青島へ戻る10月、国慶節(1日-7日)の後まで持ち越し・・・のはずでした。

9月28日、水道メーターの交換のため、その団地に常駐している作業員がオフィスを訪ねてきて、上の階(9階ですね)を開けてくれ、と言ってきました。これは他のすべての部屋でも行われていることです。ですので、これ自体はさほどの問題ではありません。でもどういうわけか、そこには「大家が一緒にいる」ということなのです。どうしたって何か裏があると思わずにはいられません。そこで、現地スタッフにドアを開けないようにと指示しました。水道管を交換しないことで、他の部屋の断水が多少、延びるということについても、元を正せば法的責任を全うせず、返金にも応じない大家のせいでしょう?

しかし作業員の女性(団地内全6棟を担当)、大家(は言わずもがな)、それに現地のスタッフも、契約に関する私たちの状況が変わるわけでもないので、開けてメーターを交換した方がいいと言ってきます。結局、状況に流される形で気が進まないながらも、「大家は作業後(約30分)には必ず退出し、鍵も変えない」という条件の下にドアを開けることに同意したのです。

上の階のドアが開き、作業員が水道メーターを交換している間、大家はすぐに行動を開始し、鍵屋にドアの鍵を変えさせてしまいました。そこに居合わせたスタッフには、今見たことを言わないようにと釘を刺し、休日に勝手に大家が変えた風を装っておくようにと言ったようです。彼女は何もできず、黙って見ているしかありませんでした。

その晩にそのスタッフから連絡をもらいました。カビだらけの、家賃を払っていながらも鍵さえ持っていないというそのアパート・・・青島に戻るまではまだ数週間はあるので、その間は今後の対応を考えた方がよさそうです。ちなみに今回の大家については、その行動は暴挙と言っていいでしょう。どのような裁判に出たって負けるはずです。そんなわけで私は10月8日に戻るまでは事態をそのままにし、法的な選択肢を模索するべく、弁護士に連絡を取るよう現地スタッフに指示を出したのです。