2017年3月 のアーカイブ

営業ツールの重要性

2017年3月1日 水曜日

昨年末、東京で行われた大きい国際展示会で機械メーカーのブースに立ち寄りました。そこにオーストラリアで販売代理店の役割を担っているオーストラリア人がいました。30年以上その業界の営業に携わり、専門知識が豊富な営業マンでした。

彼と一緒に機械のカタログを見ると、20年前のカタログから現在のものまで揃っていました。昔のカタログは16ページで、機械の写真が大きく、説明文も分かりやすく、使いやすい営業ツールだったと彼は言っていました。一方、最新のカタログは8ページで、写真も文字も小さく、説明文が仕様書に近い内容でした。確かに専門家以外はその機械を購入することはないが、より分かりやすくて丁寧な説明があると、営業の成功率が良くなると彼は話していました。

そこで、なぜ営業の第一歩である製品カタログが、この数十年で改善ではなく、逆に悪くなっているかを2人で考えました。

  • 文章を上手に書ける人が少ない

これは多くの機械メーカーについて言えることでしょう。技術者が多い会社では自然と理系の社員が大半になるし、その多くの理系の人々は文章を書くのが不得意です。会社には文系の人で作文が上手な人がいても、多くはカタログに必要である専門的な内容に詳しくありません。

  • 購入する側のこと(気持ち)をあまり考慮していない

機械メーカーでカタログなどを作る際に幾つかの部門が関わっています。

製造担当者は機械の機能性や精度を重視し、競合メーカーに負けない「ものづくり」がメインの仕事です。

営業部の担当者は持っている営業ツールを利用して、お客様に他社の競合モデルより自社の機械を選んでもらうように説得するのが仕事です。最近では機械の機能が重要でも、価格の話が多いでしょう。

営業部にとって大切な営業ツールであるカタログや会社案内の作成は外注に依頼することが多く、その場合は資材部や購買部が担当することが多いです。それらの部署の目的は会社の経費削減で、当然ながら低価格である会社に依頼することが殆どです。

  • 印刷コストを削減したい

年々、印刷物が安くなっています。その背景には紙媒体が電子媒体に変わっているということがあります。世の中の紙媒体の位置付けが早く大きく変わっています。取扱説明書などがCDとして渡されたり、ネットからダウンロードされたりする時代です。年賀状がメールで送られているなど、たくさんの例があります。

しかしながら、数千万円の機械の販売を考えると、機械のカタログは非常に安いものです。そのカタログを立派なものにするか、中途半端のものにするかの差額は僅かです。

お金をかければ良いという訳でもありませんが、より分かり易く好印象を与えるカタログにして、1台でも多く受注が出来れば、その差額の何倍もの利益があるはずです。10機種のカタログを改善し、どれか1台でも多く売れたら、その投資が安いものと感じるでしょう。

それと同時に会社の印象が改善され、自然と紹介され易くなります。

  • あれば良いという観点

技術者、営業担当者、購買部を始めとする売る側の会社の多くの人はカタログや会社案内の重要性を理解していません。あった方が良いが、その印刷物の良し悪しによって会社の売り上げは左右されないという考え方です。技術が良ければ、カタログを重視しなくて良いと思いがちです。

一方、機械を買う側の人は様々な機械を比べ、様々なメーカーの営業担当者から説明を受けています。口頭での説明は印象が弱く、当然ながら実物がある訳でもないので、購入する機械を選択するのに残されたカタログや技術的な書類が重要となります。

このようにカタログを作る側と見る側の温度差があります。

私は、この二十数年間で沢山の営業ツールの作成に関わってきました。読む手のために作られている印刷物の方が断然に効果的です。営業ツールであるカタログや会社案内は目的を持つものです。その目的を常に考慮して作成すると、効果的で会社の成長に貢献する印刷物に仕上ります。

海外向けのカタログは作る過程で翻訳作業が入りますが、その前から読む人の知りたい情報やその伝え方を考える必要があります。単に日本語版のカタログを英語や中国語に翻訳するだけだと海外向けのカタログとは言えません。単なる日本市場向けの外国語版です。その様なカタログを外国の取引先に渡すと効果が半減してしまいます。多くの場合、お金の無駄使いと販売のチャンスを逃すという結果となるでしょう。

株式会社ハイマン インターナショナルでは既存の日本市場向けのカタログを参考にしながら、お客様と一緒に海外向けのデザインや内容を白紙の状態から考えます。内容が決まってから、その伝え方を検討します。文章が良いか、表で表すほうが良いか? 写真、図面、漫画っぽい絵が良いか?売りたいもの、伝えたい情報、読む人の立場(経営者、技術者、購買課など)を考慮します。

また、同じ言葉の海外版のカタログとはいえ、使う予定の国によって内容が変わる場合もあります。同じ英語版の営業ツールは、場合によっては英国、米国、アフリカ、東南アジアでも使われることもあります。それぞれの地域での経済的な現状や必要とされる精度などが異なります。また、表現、単語の綴り、仕様の単位、数字の表し方などが必ずしも同じではありません。

良い機械を良いお客様に販売したい場合は良い営業ツールが必要です。