部屋を借りる

今年の3月、日本の従業員の一人の青島長期出張(8月から10月末までの3ヶ月間)を決めてから、彼のための相応しい部屋を探すことにしました。3ヶ月というのはホテル住まいには長すぎるし、年間契約で部屋を借りるにはちょっと短い。そんな理由もあって、最終的には会社からバスで15分くらいの大きな家の一室を借りる、いわゆる間借りの形態に落ち着いたわけです。部屋にはシャワーと洗面所が備え付けられており、部屋のちょうど隣が共同トイレ。立地もいいし、月の家賃1,500元、電気・水道代に月50元と値段も手頃。手付金が500元(ただし理由の如何にかかわらず返却はされない)で、残りは入居時にまとめて払うか月毎で分割するかを選択できるというもので、条件としては理想的ですね。家主が言うには、家の中には他にも滞在者がいるため、通常は家の玄関の鍵は渡さず、それぞれの部屋の鍵のみを提供するということだったのですが、滞在予定者は全く中国語のしゃべれない日本人であること、帰りが真夜になることもあるということなどを説明して、玄関の鍵も渡してもらえるという約束を取り付けることもできました。万事順調、早速500元の手付金を支払い、あとは彼の到着日に、最初の月の家賃の残り1,000元と電気・水道代50元を支払えば契約完了、安心したわけです。

でもね、あるんですね、落とし穴が。彼の到着後、その家まで行ってざっと家の中を一巡した後、階下でさぁ家賃の残りを支払おうかという段になって、なんと家主は家賃として1,500元ではなく1,800元を、電気・水道代として50元ではなく200元を要求してきた上に玄関の鍵も渡すつもりはないと言い出したのです。その後、1時間もの時間を費やして事の次第を話し合ったあげく、やっとのことで手付金支払い時のレシートに記載された家賃、および条件で契約するという同意を得るところまでこぎつけました。残念ながらその時は双方ともにレシートを持っていなかったため、週末(その日は金曜日、夕方)は当初の予定通りに滞在し、週明けの月曜日にレシート持参の上、支払い、および契約の完了という運びになったわけです。もちろん私たちはレシートの内容に何の疑いも持っていなかったので、月曜日にはすべて予定通りにいくだろうと思っていました。

でもまだあるんですね。週が明けて月曜日、中国現地の従業員が、1,500元と50元の文字がはっきりと記載されたレシートを持って家主を訪れました。ここで家主は月1,500元の家賃には同意しましたが、水道・電気代については、今は「夏」なのでエアコンなどの代金も加味して、200元は必要だと言ってくる。このこじつけは受け入れがたい。そもそもレシートには当初から8月から10月末までの滞在と書いているのですから、夏だっていうことくらい想像はつきますよね。さらに3カ月分の前払いと1カ月分の敷金(退室時に返金、何も問題がなければの話ですが)を追加要求。結果として4,650元から6,600元、実に42%も金額が跳ね上がったんですね。仮に敷金が返ってくるかもしれないといっても、相手の手の内がすべて明らかになったわけではない。

新しい部屋を探さなければいけないかも、とここで不安になりました。

まだまだ家主は止まることを知りません。たとえば他の滞在客はすべて中国人で共同の場所はおおむね汚いから日本人には合わないだろう、あるいは彼の祖父が第二次世界大戦時に日本軍に殺されたため、彼の父が日本人と同居するのを嫌がっているなどなど、次から次に言い訳を見つけては、契約を拒み続けたのです。

結局、私たちは別の部屋をみつけ、その部屋の契約をすることにしました。会社にも近く、感じのよい大家(年配のご夫婦)で、家賃は月1,200元。4日間(金曜日の夜から月曜日まで)の紆余曲折を経て、火曜日に新しい部屋へ移動し、彼はやっと問題のない生活を手に入れたのです。

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